発酵食品の選び方

温活は腸内環境から

 腸内環境を整えることは健康維持にとって欠かせません。腸の働きが悪くなると、栄養素の吸収率も下がり、造血と血流の働きに影響を及ぼします。血流の低下は体温を下げ、免疫力も低下させます。

腸にとって良い取り組みを「腸活」と呼び、メディアでもよく取り上げられています。それから体温を上げるための「温活」にとっても、腸内環境を整えることはとても重要なことです。そして、腸内環境を良くするために注目したいのが、腸の消化・分解・吸収に使う酵素(こうそ)の存在です。

酵素は触媒の働きを持つ物質で、体内で消化酵素や代謝酵素として働いています。人をはじめ生物は取り入れた食物をエネルギーとして使うときに、細胞内で化学反応によりエネルギーに変換させます。そして酵素は摂取した食物の消化・吸収・分解・排泄にも不可欠であります。

また腸では善玉菌、日和見菌、悪玉菌の腸内細菌が、腸内のバランスをとっています。腸の消化吸収の際、腐敗物質が増え、悪玉菌が優位になると腸の活動が低下します。そうなることで無駄な酵素が消費され、その悪循環によって腸内環境は悪化します。また、年齢を重ねるとともに酵素は減少します。

目次

発酵食品は生きている

 発酵食品は善玉菌を多く含む加工食材、、世界中様々な方法で古くから食べられています。善玉菌は病原体の侵入を防ぐことで、免疫細胞を活性化させ免疫力を高めます。発酵か腐敗かの違いは、まさに人間都合で、人にとって有益であれば「発酵」、有害であれば「腐敗」です。発酵食品は菌の生育環境下に於いて、有益な発酵菌が縄張り争いに勝つことで、食べ物として成立するのです。

煮た大豆と納豆の栄養成分を比べると、ビタミンB2などの栄養価が高くなります。また納豆菌によって、うまみ成分のグルタミン酸を作ることで食味が上がります。また蒸した米に、麹菌を繁殖させた米麹では、元の米に対して格段に栄養成分が増加し消化吸収もよくなります。

甘酒は20%がブドウ糖で、麹菌の発酵の過程で、ビタミン群と必須アミノ酸などが作り出されます。これらのことから「飲む点滴」などと呼ばれています。ちなみに俳句で甘酒は夏の季語になります。江戸時代には、夏になると甘酒売りが市中に出ていたそうです。

乳酸発酵のぬか漬けは、乳酸菌が糠や野菜の糖分を食べて増殖します。乳酸が増えた糠床は、酸性に傾くことで、雑菌の繁殖を抑え保存性も高めます。また微生物は生育を阻むための抗生物質を作り、他の微生物を排除することで、安定した環境を保ち食材を腐りにくくします。

カビや酵母の大きさは4〜8ミクロン、細菌は更に小さく0.4〜0.8ミクロンです。日本酒の前段階にあたる醪(もろみ)は発酵中の液体で、繁殖した酵母が醪1g中に1億個以上います。ぬか漬けの糠床1gには、生きて活動している乳酸菌が3〜4億個、細菌や酵母でも1億個の微生物がひしめき合い、ヨーグルト1g含まれる乳酸菌には1億〜10億個ともいわれています。

発酵食品は腸の強い味方

 腸内細菌には、体に必要なビタミンやミネラルを合成する重要な役割があります。そこで腸内細菌にとって「良い餌」となる栄養バランスの良い食生活で、腸内環境を良好に保つことが不可欠です。ところが肉食で脂の多い食事や乳製品や加工食品に偏った食事で、食生活が乱れると善玉菌の働きが弱まり、悪玉菌が繁殖することになります。また多くの加工食品に使われる保存料は、細菌の繁殖を抑えて腐りにくくしてくれる一方、善玉菌の繁殖も抑えてしまいます。

そして、もう一つ重要なことは、先に述べた酵素の存在です。最近よく耳にする「ローフード」は、加熱による酵素の消失の影響を受けない、生肉、生野菜や果物の割合を多くする食事で、より酵素を取り込むための食事法になります。しかし、酵素は胃で分解されアミノ酸に変わってしまうので、実際に酵素を取り入れることは難しいのではないかと言う意見もあります。更には、酵素は鮮度の高い食材に多く含まれるため、必然的にコストも高くなり、摂取する上で少しハードルが高いです。

そこで、おすすめしたいのが発酵食品です。ある程度分解が進み、消化に負担をかけない発酵食品は、善玉菌で構成された優れた酵素食と言っても過言ではありません。それと同時に、腸内細菌のために、善玉菌の餌となる、水溶性の食物繊維であるオリゴ糖を含む食材をバランス良く取り入れることが望ましいです。

発酵食品を見極める

 普段からよく食べている発酵食品は味噌、醤油、酢、納豆、キムチ、ヨーグト、チーズなどがあります。しかし中には保存性を持たせるための添加物によって、発酵が止められ菌が生きていないものも少なくありません。せっかく体のことを考えて発酵食品を食べているつもりが、有益な菌が生きていなければ残念なことです。実際に発酵しているのかを見極めることはとても重要なことです。

下記では発酵食品を選ぶときに何を基準にしたらよいかをご説明します。市販の発酵食品の中でもとりわけ菌が生きている発酵食品を選ぶための目安にしていただけたらと思いす。

味噌選び

店頭で売られている味噌の多くが添加物や加熱処理によって菌が殺されている商品です。以下の注意点に気をつけ、発酵しているかを見極めましょう。

  • 発酵による膨張を防ぐための通気穴が設けてあればOK
  • 商品表示にアルコール添加の記載があれば発酵は止まってます
  • 冷蔵で販売されている味噌は発酵の状態かも(販売者に確認)

納豆選び

店頭で売られている納豆は保存性を高めるための保存料などで、発酵が抑制されてものがほとんどです。スーパーに藁で包まれた商品もありますが、見せかけだけで、天然の納豆菌とは限らないのでお気をつけください。

基本納豆はすべて発酵した状態で売られています。違いがあるのは藁などについた自然の枯草菌か、人工的に純粋培養された枯草菌かということになります。安く大量生産で売られている納豆のほとんどは、人工的に作られた納豆菌です。

天然の納豆菌と人工の菌の違いは自然界の多様な菌で構成されているか、人工培養された単一の菌であるかになります。一般的に言われるのは、天然の納豆菌のほうが深みがあり味もよいと言われています。

ヨーグルト選び

ヨーグルトは赤ちゃん向けやお菓子の中では、乳酸菌が不活性化されているものの、基本生きている乳酸菌です。安価な商品であってもしっかり発酵食品です。各社で菌の種類が多いいため、自分の体に合うものを選ぶことが大切かと思います。

キムチ選び

市販のキムチはまず疑ってかかりましょう。多くがキムチ風味の調味料で浅漬けされた、非発酵とよばれるキムチです。発酵しているものの特徴は、味の変化が激しく早々に酸っぱくなります。

  • 一番わかりやすいのが韓国直輸入のキムチくんマーク付きのもの
  • 表記の製法に「乳酸発酵」や「熟成発酵」とあるもの

チーズ選び

チーズはナチュラルチーズとプロセスチーズに分類されます。ナチュラルチーズは、牛乳と塩を発酵させた発酵食品になります。プロセスチーズは保存性を持たせるため、ナチュラルチーズに添加物の乳化剤、セルロース、安定剤、リン酸塩、pH調整剤が入っていて発酵食品と言えるものではありません。pH調整剤に至っては、腸内細菌を殺すとも言われています。また外食産業でよく使われるチーズフードと呼ばれるものがあり、チーズ成分が51%以上と定義され、その中にホエイや小麦、添加物でかさ増しされたチーズもどきです。

  • チュラルチーズを選ぶ(日本製はほとんどはプロセスチーズです)
  • 原材料の少ないものを選ぶ

こだわれば醤油や酢、お酒や味醂も発酵食品なので、本物をそろえたいものですが、価格、利便性の面から流石に現実的ではありません。ただせっかく発酵食品だと思って食べていたものが、その効果が得られないものでは残念なことです。

発酵食をつくってみよう

 現在、いろいろなメーカーから発酵器がでています。それを使って甘酒、納豆、ヨーグルトなどの発酵食が簡単に作ることができます。江戸時代では、「手前みそ」といって、味噌は買うものではなく作るものであったそうです。自家製味噌はやってみると意外と簡単で、むしろ失敗する方が難しいくらいです。もし興味がある方は是非とも「手前発酵食」挑戦してみてはいかがでしょうか。

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