発酵食品は温活の強い味方です

発酵食品とは

 発酵食品とは食材が微生物の働きによって、味や成分が高められた食品のことをいいます。もう一方、微生物が関わる作用に腐敗がありますが、発酵と腐敗の違いはそれが人にとって有益か有害かで判断され、厳密な決まりがある訳ではありません。食品が腐ると悪臭を放ち、病原性の微生物が増殖して、腹痛や下痢など体に害を及ぼします。菌がこのよう振る舞いを示したときに私たちは腐敗と呼びます。

微生物の有機分解の力で食材のうまみを引き出し、栄養価や食味、保存性を高めるために昔から様々な発酵食品が作られてきました。例えば酒やみりんは、麹菌によってデンプンが分解されることで深い甘みをもたらします。また、たんぱく質が分解されることで、うまみの素となるグルタミン酸やイノシン酸ができます。このように微生物の力で本来の食材に独特の風味と味が加わり、有益な成分が増すことが発酵食品の醍醐味です

煮た大豆と納豆の栄養成分を比較すると、煮た大豆に比べ納豆はビタミンB2の働きにより食材を酸性に変え、雑菌の繁殖が抑えられることで有益な食材になります。

発酵にかかわる微生物

 発酵にかかわる微生物を大きくわけると、カビ、酵母、細菌の三種類です。この3つの中で一番大きいのはカビです。食品にカビが生えると目で確認することもできます。あれはカビが繁殖して胞子や菌糸が絡みあった集合体で、そもそものカビの胞子は、肉眼で見ることができません。具体的な数字をあげると、カビや酵母の大きさは4〜8ミクロン(1ミクロンは、1,000分の1ミリ)細菌はもっと小さくて0.4〜0.8ミクロンしかありません。

麹カビのイラスト

発酵によく使われるのが、麹カビ属です。カビは簡単に言うと、胞子がたくさんついている頭の部分、胴体、菌糸とよばれる根の部分にわかれています。成長して胞子が飛び散ると、胞子から菌糸が伸び、胴体ができて、その先端に胞子ができます。そしてまた胞子が飛び散って…というサイクルを繰り返して増えていきます。

 酵母は、カビのように胞子、胴体、菌糸とわかれておらず、単細胞で、球型やタマゴ型、円筒型などいろんな形をしています。増殖の方法もカビとは異なり、まず酵母(母細胞)から小さな突起が生まれ(娘細胞という)大きくなっていきます。

酵母は、拡大と分裂を繰り返して増殖していきます。そして、サッカロミセス属、キャンディダ属などがあり、前者はパンやビール、ワインなどの発酵に使われ、後者は飼料などの発酵に使われています。

細菌も酵母と同様に単細胞で、その形態には球菌、茎状の桿菌、らせん状菌などがあります。細胞は栄養分を取り込むと大きく成長して、2つに分裂します。細菌には、発酵食品に欠かせない乳酸菌、酢酸菌、納豆菌、プロピオン酸菌などがあります。細菌の成長と分裂のスピードは、カビや酵母よりも早く、例えば悪玉菌の代表である大腸菌では、20分ごとに分裂するので、短時間のうちに大量な数に増殖するので生食のものは気をつけなければなりません。

発酵食品が温活にいい理由

 腸内細菌には、善玉菌、悪玉菌、日和見菌があります。腸内は善玉菌が優位になり、腸内環境が整うことで、消化や栄養吸収がよくなり代謝も上がります。

ヨーグルトを例に挙げると、1gあたり1億個~10億個!100g食べると100億個~1000億個も摂取したことになります。腸内環境を整え、代謝を上げる発酵食品は温活にとって強い味方なのです。

また体内では細胞が活動する時に不可欠な、体内酵素(消化酵素、代謝酵素)があります。酵素は加齢とともに生産量が落ちて行きます。ミトコンドリアも酵素が減ることで脂肪の代謝が落ち、肥満を引き起こします。酵素を節約し代謝酵素の働きをサポートするために食物酵素を取り入れることは有効です。

新鮮な生野菜や果物、お刺身など加熱調理をしていない食品に食物酵素は多く含まれています。ただ鮮度や無農薬などを考慮すると、なかなかのコストがかかります。

発酵食品は微生物の働きにより、ある程度分解されています。つまり、体内に入る前すでに消化の下準備が整えられているため、体内に入ってから消化に必要なエネルギーを節約し代謝の負担を軽減します。保存性が高く、とてもコスパの良い食材なのです。

加工食品はできるだけ控える

 消化酵素と代謝酵素は1万種類までにのぼり、主に消化と代謝を担っています。酵素は体内で起こる化学反応に対し、触媒として働くたんぱく質のことです。酵素は生物が物質を消化や吸収、代謝、排泄、などあらゆる生体内の化学反応を酵素が担っています。消化酵素は唾液に含まれる「アミラーゼ」、胃が分泌する「ペプシン」、膵臓から出る「リパーゼ」など、全20種類以上の消化吸収をサポートしています。片や代謝酵素は、消化酵素によって分解され、血液や細胞内に取り込まれた栄養素からエネルギーをつくり、細胞の再生や修復、遺伝子の修理、有害物の解毒など様々な働きをしています。食べる量が増えれば当然、消化酵素を多く消費することで代謝酵素は減少します。体内酵素を合わせて10とすると、代謝酵素8割、消化酵素2割ほどが理想的と言われています。できるだけ消化に負担をかけないほうがよいというのはそのためです。食事はよく咀嚼して、くれぐれも暴飲暴食には気をつけましょう。

又、加工食品には食品添加物が含まれることが多いです。食品添加物は体にとって、悪影響を及ぼすものもあります、その場合、肝臓による解毒が必要となり、その際余計な代謝酵素が、消費されることになります。新鮮な食材や発酵食品は、消化酵素と代謝酵素の両方の消費を減らせます。できるだけ体の負担になる添加物を避け、積極的に発酵食品を取り入れることが望ましいかと思います。

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