腸冷えをご存じでしょうか
腸が冷えると下痢や便秘、腹痛に胃もたれなど、消化吸収や排泄に関わる不調が増えます。血行不良により栄養が回りにくくなり、細胞の働きが低下するため、体に様々な問題が発生します。
冷えを感じてはいないが、お腹が冷えていたり、脇よりお腹が冷たいといった特徴のある人が内蔵型冷え性で、隠れ冷え性などとも呼ばれています。
ストレスとの関係も深く、腸の働きが悪くなると、鬱や心の不調にも影響します。腸の不調により自律神経も乱れ体温も下がります。結果的に内臓へ送られる血液も減り、内臓も冷えるという悪循環になります。
腸冷えをチェックしてみましょう
腸の働き
腸は、胃で消化された食べ物が、十二指腸を通り、小腸でさらに細かく消化吸収されます。小腸は絨毛(じゅうもう)と呼ばれる突起で覆われていて、水、糖、ミネラル、アミノ酸、ビタミンなどをその絨毛(じゅうもう)から吸収し、腸の血管へ送られます。
小腸は自ら膵臓や肝臓に指令をだし、十二指腸から胆汁や膵液の分泌を促します。タンパク質はアミノ酸、糖類は単糖類、脂質は脂肪酸に分解され、栄養素として吸収されます。
大腸では小腸で栄養分が吸収された後の食物が運ばれ、水分を吸収します。蠕動運動と逆蠕動運動により小腸で一定の時間とどめ、水分や栄養素を吸収する仕組みになっています。内容物が長時間とどまると、過度の水分の吸収により便秘になり、これらは自律神経によって制御されています。
腸内環境と心の関係
腸は第二の脳と呼ばれ、一億個の脳に次ぐが頭の神経細胞があり、腸管神経系が張り巡らされています。腸と脳は迷走神経と呼ばれるネットワークによって情報を交換し、互いに影響を与えあう相関関係があることが分っています。例えば腸内細菌が生み出した有害物質が、脳に影響を与え、認知症を招く恐れや、うつ病の人に便秘や下痢が多いという報告があります。
腸には免疫細胞の6割が集中し、細菌やウィルスなどの病原体から身を守っています。また自律神経にも密接に関係して、精神にも大きな影響を与えています。幸せホルモンと呼ばれる、人の幸福感などの感情に関わる物質「セロトニン」の9割が、腸内で作られます。このようなことから、腸内環境の悪化が脳や心の問題、体調不良や様々な病気に、腸内環境が影響しているのです。
腸内細菌には善玉菌、日和見菌、悪玉菌があります。それらの割合が善玉菌が2割、日和見菌が7割、悪玉菌が1割に保たれている時、腸内環境が良いとされています。なぜなら日和見菌は優勢な方に傾くからです。悪玉菌が優勢になれば、腸内環境は悪化することになります。腸内環境のバランスの悪化は、免疫細胞にも影響を与え、免疫力の低下に繋がります。
健康の源
腸はあらゆる臓器とネットワークで繋がっています。迷走神経で脳と連絡を取り合い、心臓へも自律神経を通じて信号を出し、心拍数の上下により腸の働きと連動して血流をコントロールします。また肺へも信号を出し呼吸のコントロールで腸の蠕動運動を助けたりします。
腸の冷えをそのまま放置してしまうと、腸内環境も悪くなり、更なる体温の低下を招くことになります。そうなることで血流や代謝を低下や自律神経のバランスの乱れなどを起こします。冷え、自律神経の乱れ、血流の悪化の悪循環が、体全体の機能にも影響を与えます。
腸冷えの怖さ
何らかの影響で腸が冷えると、血管や内臓の働きのが衰えます。消化や栄養の吸収や排泄の問題を起こすと、必要なエネルギーや養分が不足します。そうなることで自律神経のバランスも乱れて、追い打ちをかけられるように腸の働きも鈍くなります。
その結果、血流や老廃物が滞り、産熱も低下して更に腸が冷えるといった悪循環をもたらし、ひいてはアレルギー症状、頭痛や肩こり、不眠などの症状。女性では婦人科系の不調など、思わぬ疾病を引き起こす可能性があるので軽く考えてはいけません。
腸を冷やさないために
“お腹の冷え”に覚えのある方は生活習慣を見直してみましょう。知らず知らずのうちに腸を冷やす行動をしている可能性もあります。腸は健康にとって最も重要な場所です。また、健康維持にとって重要なことの一つは基礎体温をあげることです。体温を上げる生活「温活」と腸内環境にとって良い生活「腸活」は目指す目的はより良い健康な生活。さまざまな角度から健康促進を目指してまいりましょう。
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