温活は下半身から

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筋肉と代謝

 筋肉の仕事一つに体の熱を作る働きがあります。これを熱産生といい、恒温動物である人間は環境に応じて、自律神経の働きで、体温が一定に保たれるようになっています。冷え性は、熱を作る力の不足により起こるのですが、産熱を担う割合が大きいのは、筋肉になります。筋肉を動かすためにはエネルギーが必要で、そのエネルギーを産むときに熱が発生します。熱は脳、内臓、筋肉で作られ、エネルギー代謝全体の約20%が、筋肉が占める産熱の割合です。

代謝には呼吸や生命維持を、確保するため「基礎代謝」、運動など「身体活動による代謝」「食事による代謝」に分けられます。これら代謝のエネルギー消費は、基礎代謝で60%、身体活動で30%、DIT(食事による代謝)で10%となっています。ここで多くの割合を占める基礎代謝は、筋肉量に比例して高くなると言われています。また意図的に強化できるのは筋肉だけですので、運動して筋肉を鍛えることは、温活にとって有効な方法なのです。

・筋肉量が増え

・代謝が上がる

・体温が上がる

下半身を鍛えるべき理由

 筋肉には、瞬発力を発揮する白筋(速筋)と、持久力に強い赤筋(遅筋)があります。赤筋(遅筋)には、ミオグロビン(色素たんぱく質)と呼ばれるたんぱく質を多く備えています。そのミオグロビンは酸素を多く蓄えられるため、エネルギーを持続的に作り出すことに長けています。また赤筋(遅筋)は、加齢に伴う減少も緩やか且つ、疲れにくい筋肉でもあります。

遅筋は特に、ふくらはぎ内側の「ヒラメ筋」や、脛骨と足の内側をつなぐ脛にある筋肉の「前脛骨筋」に多くあります。またインナーマッスルにも多く含みます。因みに前脛骨筋とは主につま先を持ち上げる時に活躍する筋肉です。基礎代謝を上げるために、持久性に優れた赤筋(遅筋)を鍛えることが効果的です。

下半身には、全身の筋肉量の60〜70%で占められています。赤筋(遅筋)を増やすためには、ウォーキングなどの有酸素運動が有効です。しかし毎日忙しい中、時間を作るのも大変なことと思います。そこでおすすめなのが、仕事や家事の合間に出来るような、「歩くスピードを上げる」とか、「踵上げ」や「つま先上げ」のような下半身を鍛える運動が、日常的に取り込みやすく、且つ効果的ではないでしょうか。そして、特に優先して鍛えたい場所はふくらはぎです。

心臓は血液を送り出し、全身を巡り酸素や栄養素を運び、腎臓でろ過され心臓に戻ります。もちろん下半身にも血液は回りますので、重力に逆らい心臓に血液を戻すためには、筋肉を収縮させて、血液を押し戻す必要があります。この時ふくらはぎでは、踵を上げると筋肉が圧迫され静脈が縮み、血液は押し出されます。踵を下すと筋肉を弛緩させ、静脈が広がり血液を充填します。この一連のポンプ作用が、ふくらはぎが第二の心臓と呼ばれる所以です。

それとは別になりますが大腿四頭筋は、赤筋(遅筋)より白筋(速筋)の割合が60%と高いです。しかし全筋肉量の約1/4を占めるところから、代謝を高めるためにはしっかり鍛えておくべき筋肉と言えるでしょう。

座ってできる下半身トレーニング

踵上げ

シーテッドカーフレイズと呼ばれ、椅子に座って、踵を上げ下げする運動で、ふくらはぎのヒラメ筋が鍛えられます。

・直角に曲げられる姿勢に座り、背中を伸ばして踵を上げ、いっぱいまで上げたらゆっくりと下ろす。1セット1分間、インターバルをとって3セットを目安に行ってください。

つま先上げ

つま先上げ運動は、先に述べた前脛骨筋、脛の筋肉を強化します。

・椅子を両手で掴んで行います。ゆっくり、つま先を持ち上げ、いっぱいの所で3秒間ストップ、しっかり負荷をかけます。ゆっくりと下ろして戻します。1セット10回を目安に、徐々に回数を増やすとよいでしょう。

膝伸ばし

座ったままで大腿四頭筋が鍛えられます。

・少し前に腰掛け、しっかり両腕で椅子の縁を掴みます。できる人は太ももに手を置くと負荷が増します。背筋を伸ばして片足をまっすぐ、水平に伸ばします。いったん止めて、ゆっくり膝を曲げて下ろします。高く上げたり、つま先を顔へ向けると負荷があがります。1セット片足10回の3セットを目安に、体力に合わせて行いましょう。

膝をつけて座る

内転筋群は日常ではあまり使われない筋肉です。長時間の立ち仕事や、座りっぱなしによって硬くなり、股関節の動きも悪くなります。 脚のつけ根にはリンパ節もあるので、このトレーニングは内転筋を鍛えるだけでなく、ストレッチ効果で全身の血流や代謝もあげます。

・ 浅く椅子に座る。くるぶしと膝を合わせ、5秒間しっかり挟む。これを10回1セット目安で3セットほどするとよいでしょう。

空気椅子

ご存じ空気椅子です。ただあまりにもハードなトレーニングですので、椅子を使って安全にすることをおすすめします。デスクワークの合間に、大腿四頭筋やハムストリングスに負荷をかけて、基礎代謝を促進させます。

・椅子の少し前に腰を掛けます。できるだけ背筋を伸ばし、お尻を少し浮かせ、下半身に力の入る姿勢を保ちます。お尻が椅子に乗っていてもかまいません。あくまでも下半身に負荷がかかっていればよいです。慣れないうちは、短い秒数から、無理せず体力に合った時間で行いましょう。

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